WiiUソフト『スプラトゥーン』体験版:感想&レビュー

2015年5月9日
5月9日にあった試射会(体験版)で5月末発売予定の『スプラトゥーン』を2時間ほどプレイしました。その感想です。


【ファーストインプレッション】

・何はさておき、面白かったです!
発表された当初に感じたとおり革新的なFPS!、かもしれません。まだ全容がわかってないので断言はできませんが、そう思わせるだけのポテンシャルははっきりと感じました。製品版の発売がますます楽しみになりました。

・PVの印象どおり、既存のFPSの延長線上にありながら、それとは違った方向性が感じられました。相手を倒すことと勝敗が直接結びついていない点が肝ですね。具体的には以下のそれぞれ項目で述べていきたいと思います。

■イメージとの違い・一致点
・体験版といえば一番気になるのはここです。
一致していたのは操作性と明るい雰囲気でした。ゲームパッドのジャイロセンサーを使ったエイムはやはり狙いをつけるのが難しかったです。しかしストレスに感じるような難しさではなく、正確な狙いをつける微調整が難しいだけだったので、ストレスよりもやりがいを感じました。今は上手くいかなくてもそのうちモノにしてやろうと燃えてきました。
ジャイロセンサーを切ると、普通のFPSのように右スティックによるエイムになります。FPSに慣れてる人はこちらのほうが楽かもしれません。

・明るい雰囲気はイメージどおりでした。キル数が直接勝敗に結びつかないので、死の重さが軽めです。死んでもリスポンが早く、戦場が遠くてもジャンプで仲間のところにすぐ行けるのでサクサク快適なのも明るさの要因でしょう。

イメージと異なった点はゲームの流れです。
基本はFPSの基本どおり、殺し合いでした。勝敗を決めるのはインクで塗った床の面積ですが、領土を増やすには戦闘は避けられません。体験版で使える装備の範囲だと「床を塗るのが得意な”ローラー”を銃を持った”シューター”が守る&敵のローラーを妨害する」これが基本のようでした。

・ただし一般的なFPSとは戦闘の趣が違いました。
レーダー類がなく、障害物が多く、武器の射程が短め(中距離ライフルで5キャラ分くらい)なので、武器としては近接用のローラーであっても上手く横や後ろから近づけばあっさり倒せました。普通のFPSなら慎重に周りを見渡しながら進めばいいのですが、スプラトゥーンの場合は時間内に塗った面積で勝敗が決まり、時間もあまり長くないのでゆっくりしているのもロスになります。
死んだり、殺したり、殺しまくって勝ってるつもりがいつの間にか領土で逆転されてたり、考えるよりも動くことが優先される全体的にハイテンポな流れでした。

■体験版の内容
・体験版でプレイできるのは4vs4のオンラインマッチのみです。
使える武器は4種類:
若葉シューター(塗りと攻撃兼用のサブマシンガン)
スプラシューター(アサルトライフル?)
ローラー(塗り特化近距離武器)
スプラチャージャー(溜め撃ち型スナイパー)の4つです。
他にグレネードなどサブ武器とゲージを貯めると使えるスペシャル武器があるのですが、こちらはメイン武器4種とセットになっていて、自由に組み合わせることはできません。

・マップは2つでした。
中央に1つだけある大きな部屋とそこにつながったスタート地点と通路からなる狭いマップと、複数のルートが立体的につながっているマップの2つでした。
狭いほうはバランスが悪かったです。一度優勢になるとスタート地点側にどんどん詰め寄っていって、最終的にはリスキル地獄になったことも一度だけありました。
立体的なマップのほうは面白かったです。大きな陣地の奪い合いに勝ったと思ったら、別のルートからローラーに走り回られて領土的には圧倒的な不利になっていたこともありました。こちらのほうがスプラトゥーンらしいマップだと思います。

・最初に操作方法を聞きながら風船の的を撃って進む体験型チュートリアルがありました。
これは良いですね。FPSのオンラインマッチというと、銃の撃ち方さえ知らないド素人が混じってうんざりすることもあるので、最低限の基本を叩き込んでくれるのは助かります。

■ローラー
・勝負の鍵を握る存在、それはローラーでした。
ローラーは移動しながら塗ることができ、しかも広範囲に高速で塗れるため他の武器の5倍近いスピードで塗れました。チームに1人は必ずほしい存在です。

・特にスペシャル武器との相性が抜群でした。
スペシャル武器は塗った面積によってゲージが溜まるので、塗る速度が早いローラーはスペシャル武器の使用頻度も早くできます。体験版でのローラーとセットになってるスペシャル武器は、壁を貫通する波動砲です。当たれば一撃で倒せる強力な武器です。しょせんローラーと侮る敵や進軍する敵をまとめて倒したり、かなり使い勝手が良かったです。スペシャル武器にはレーダーやバリア、エリア指定爆撃などもありますから、組み合わせをいろいろを考えたくなります。

・今回プレイした範囲だと全員シューターと全員ローラーなら、ローラーのほうが勝ち目があるように思えました。
実際、一度自分含めて味方3人がローラーだったことがありました。途中までは撃ち負けることが多く、劣勢だったのですが考え方を変えてひたすら敵の領土を塗りつぶすことに専念したら逆転勝利することができました。このとき、撃ち合いだけが勝敗を決するわけじゃないと痛感しました。

・ローラーは撃ち合いには向きません。相手の領土を塗りつぶして、ポイント差でプレッシャーをかけるのが大きな役目だと思います。
そのためにはマップの確認が欠かせません。マップにはどのエリアがどちらの領土になっているかリアルタイムで表示されるので、どこが一番効率よく塗れるか、敵は今どのルートを進んでいるのかを把握し敵を避けて進む、裏とりならぬ”裏塗り”をすることが重要です。
自分がシューターをやってるときにやられたときは裏とりの恐ろしさを実感しました。大きなエリアを制圧して勝ってるつもりが、マップを見たらいつの間にか劣勢になっていたこともありました。

・お昼のプレイをしたときはこう思っていたのですが、夜の部でプレイしてみたらまた印象が変わりました。
若葉シューターの塗り力がけっこう優秀でした。エリアを制圧できるポイントがいくつかあるので、そこを抑えられてしまうと攻撃能力の低いローラーだと足手まといになってしまいますね。もっと広いマップや接戦だとローラーが効果を発揮しそうです。

■シューター
・狙撃銃含めて銃を持ったシューターの役割は敵と射ち合って排除することです。
この辺りは普通のFPSと変わりません。ただし相手を倒すだけでは勝てませんから、ローラーの安全を確保するのが主な役目になります。狙撃銃以外は塗る力もそれなりにあるので、ローラーがいない場合は地道に塗ることもします。

・もう一つの大きな役割は相手のローラーを妨害することです。
ローラーは武器としては近接特化なので、正面きって中距離から撃ち合えば楽に勝てます。相手のローラーが来そうな通路で待ち構えておいて、ローラーに仕事をさせないことも重要な任務です。大きな場所を取り合う撃ち合い以上にこちらのほうが重要かもしれません。

・シューターに求められることは総合的な戦況の確認だと思います。
味方はどのエリアを取るために動いているか、どこに加勢に行くべきか、敵味方が撃ち合っている間に敵のローラーが裏とりに動いていないか、めまぐるしく動く戦況の中から1つだけやれることを判断しなければいけません。勝敗を大きく動かすのはローラーの活躍ですが、戦況判断が上手いシューターの存在が陰で果たす役割も大きいと思います。シンプルなローラーに比べて難易度が高いですが、その分やりがいがありそうです。

■裏とりの楽しさ
・スプラトゥーンの最大の魅力は裏とりの楽しさかなと思いました。
裏とりというと普通は、主戦力が撃ち合っている間に敵の側面や裏側にまわって奇襲をしかけることですが、失敗することも多く、成功しても主戦力が攻めこむ隙を作る程度でわりと地味です。
その点、スプラトゥーンの場合は戦況を自分の手で大きく動かせます。敵味方の主戦力がやりあっている間に脇道から抜けて走り回っているだけで勝敗が決することも少なくありません。裏とりがこれだけ効果のあるゲームは珍しいです。戦略性と逆転要素が絡んでいて、ドラマチックで楽しかったです。

■ミニゲーム
・地味なところでは、ミニゲームが思いのほか良かったです。
対戦の参加待ちをしている間、ファミコンふうの単純なミニゲームを遊べるのですが、これがかなり快適でした。ミニゲーム自体はそんなに面白くないのですが、待ち時間は他にすることがないのでこんなゲームでも楽しく感じられました。大した工夫ではないのですが、思っていた以上に面白くて驚きました。


【今後の期待要素】

■潜水の活用法
・インクへの潜水には可能性の広がりを感じました。
ちょっと触っただけでも、壁登りによる奇襲、インクに潜んでの奇襲、撃ち合いで不利と判断したら逃げるための逃走手段、潜水で移動しながらの撃ち合い、少しプレイしただけでも様々な使い方が浮かんできました。敵のエイムだけでも忙しいので、今回プレイした範囲では実践することはできませんが、どれも机上の空論では終わらないように思えました。潜水をマスターし、使い方を考えるだけでも相当楽しめそうでした。

■狙撃銃
・狙撃銃も可能性を感じました。
体験版で使えるスプラチャージャーは微妙な威力、微妙な射程、それでいて狙撃銃相応の狙いづらさと、かなり使いづらかったです。実際、私が使ってみたときにはキル専門のくせに1キルという恥ずかしい結果になりました。

・そんな印象を変えたのがある敵プレイヤーです。その人は目立つ高台に上り狙撃していました。当然こちらに見つかるのですが、「狙撃→潜水→ときどき飛び出してまた狙撃」と繰り返して、こちらのチームに大きなプレッシャーをかけてきたのです。考えてみれば実に理に適っています。高台は塗ることが難しいため、こちらの色に塗って潜水を無効化することは難しく、得られる領土も少ないためメリットが少ないです。といって狙撃手を放置しては大変なことになります。対応しても時間をロスし、放っておいても危険という二段構えのプレイングでした。このプレイには敵ながら感銘を受けました。潜水と狙撃にそんな使い方もあったのかと勉強になりました。
一見すると使いづらい狙撃銃ですが、使い手によっては代えがたい存在になるように思いました。

■エイム以外の活躍(ローラー)
・スプラトゥーンの売りの1つは「敵を倒すことだけが活躍の術ではない」ということだと思います。
実際、ローラーはそれを体現していました。仮にエイムが苦手な人でもローラーを上手く使えばエースとして活躍するのも夢ではありません。またレーダーなど味方に効果が及ぶスペシャル武器によるサポートで援護することも可能です。
将来的には立ち回りによる対策なども出てくると思いますが、それでも無視できない活躍が可能だと信じたいです。


【不安要素】

■チーム全体での武器配分
・ローラーはいないと困るのですが、ローラーが3人いても困ります。
しかし現状では仲間がどの武器を選んだのか、試合開始までチェックできません。そして試合中は武器変更はできません。これだと組み合わせ次第で、試合開始時点で勝敗が決してしまう運ゲーになりかねないので変えてほしいです。

・仲間の選んだ武器を確認できるようにするか、それが無理なら試合中の武器セットの交換がほしいです。何度でも変えられると状況に合わせて武器を変える最適化ゲーになってしまいますが、「最初に死んだときのみ変更可能」という程度ならそういう問題は起きないのではないかと思います。

■リスキル問題
・マップと実力差によってはリスキル地獄が起きる可能性があります。
リスポン地点を増やすか、あるいはリスポン直後に無敵時間を設けて一方的なリスキルを不可能にするなど対策が必要だと思います。

■バリア強すぎ問題
・ちょっとスペシャル武器のバリアが強すぎるように感じました。
ローラーの直撃に何度も耐えられるとは思ってもみませんでした。またわりとすぐゲージが溜まるので、通路を抑えていても「バリアを使いつつ敵を撃退→敵の塗ったエリアを塗りなおしてゲージ回収」とサイクルができてしまうことがありました。
有効時間を短くするか、ゲージの溜まる速度を遅くするか、耐久度を設けるか、何かしらの調整が必要なように思えました。


【総合感想】

・お昼も夜も楽しかったです!
立ち回りや武器の使い方を考えて戦うと、また違った味わいが出てきてワクワクしました。今はちょっとマップや武器に偏りを感じるところがありますけど、武器や服のバリエーションが追加されれば話は全然変わってくるのでしょうね。
5月末の製品版の発売を楽しみに待ちたいと思います。できればもう一回くらい体験会をやってほしいですけどね。



コメント

2 件のコメント :

  1. こんxxは。私も試射会参加しました。(昼と夜の会)
    FPSはほとんどやったこと無いのですが、楽しめました。研究員の人がチャージャーで無双してましたね。自分が使ったときはからっきしでしたが、上手い人が使うと脅威でした。体験版は、チュートリアルの風船撃ちくらいは、試射会後も遊べる仕様にしておいて欲しかったですね。製品版が楽しみです。

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  2. こんにちは。
    それは何よりですね。未経験者も楽しめるというのは、開発の意図どおりでしょうから良いことです。

    狙撃銃は扱いが難しいですね。特にチャージャーは射程も微妙でかなり癖がありました。
    でも強い人が使うと強いですよね。私も上手く使いこなせるようになりたいです。

    オフライン用がないのは話を聞いて後からやった人が、対戦の楽しみは味わえずに操作性の癖だけを感じる結果を避けるためかもしれません。
    まだ試したいこともあるので、できればもう一回くらい試射会をやりたいです。

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